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犬の毛の悩み(抜け毛編)

今回・次回と2回にわたって犬の毛のお悩みについてご説明します。

抜け毛や毛玉についての悩みは、犬を飼っていればみなさん大なり小なりあるかと思います。
犬を飼う上での必須の悩みといってもよいかもしれません。

毛についてよく受けるご相談には・・・

  • 毛が抜けない犬種のはずなのに毛が抜けます
  • 1年中ずっと毛が抜けます
  • 冬なのに毛が抜けています
  • 毛玉が出来て困っています
  • ブラッシングはどのようにしたらよいでしょう

などがあります。

犬の抜け毛というと、春と秋にごっそり抜ける換毛期の事を想像する方が多いかと思います。
しかしながら、実はそれ以外の季節も毛は抜けます。

そもそも、われわれ人間も日々髪の毛が抜けます。ちなみに1日50~100本の毛が抜けるそうです。
これを犬や猫で考えれば、毎日少しずつとはいえ全身の毛が抜けるわけですから、それなりの量になります。

毛がある限り、抜け毛は存在します。もちろん犬種によってかなり違いはありますが、毛が全く抜けない犬はいません。 ヘアレスドッグという犬も存在しますが、毛が抜けない代わりに、その他のお手入れが必要となります 。

上記のご相談のように、換毛期のない犬種のはずなのに毛が抜ける・換毛期でもないのに毛が抜ける理由の一つはこのためです。

<ここで犬の毛について少し基礎知識>

犬の被毛には2種類あります。被毛(コート)とは体を覆っている毛のことです。

  • オーバーコート(上毛):硬くてまっすぐな表の毛で、皮膚を保護する役割があります
  • アンダーコート(下毛):柔らかい下の毛で、体温調節の役割があります

多くの犬の被毛は、オーバーコートとアンダーコートの2層構造になっていますが、ほとんどオーバーコートのみという犬種もいます。

前者をダブルコート、後者をシングルコートと呼びます。

〇 ダブルコート:下毛によって体温を保てるように、比較的寒い地で改良された犬種に多く見られます。
柴犬、レトリーバー系、ダックスフント、コーギー、パグなど

〇 シングルコート:被毛によって体温調節をする必要があまりない、温暖な地で改良された犬種に多くみられます。
プードル、パピヨン、ヨークシャーテリア、マルチーズなど

春と秋、犬の毛が生え替わる時期を換毛期と呼びます。

この時期に換毛することは、人が衣替えをして心地よく各季節を過ごすように、犬の体温を調整し、より快適に健康に夏や冬を過ごすためにとても重要なことです。

換毛はアンダーコートの生え替わりなので、「ダブルコートの犬=換毛期がある犬」と考えてよいでしょう。

最近は昔に比べて室内で暮らす犬が多くなりました。
冷房や暖房によって温度が一定に保たれた環境で過ごすため、季節による気温の差を感じる機会が少なくなってきています。

もちろん最近の夏の暑さや豪雨などの異常気象だけをとっても屋内で過ごす方が安全だと思います。
ただ、元々屋外で過ごせるように、それぞれの土地や気候にあわせて犬種改良されている犬種も多くいます。
このため、こういった子たちの中には、通常の換毛期以外の季節にも毛がかなり抜けてしまう子も見受けられます。

夏にアンダーコートが生えてきたり、冬に換毛期が始まるというようなこともあります。
これは冷暖房のしっかり効いた部屋で過ごしているために起こります。

こういった子たちに必要なことは、ある程度の寒さや暑さにさらすことです。
日ごろから可能な限り外にいる時間をつくり、気温を感じさせることで理想的な換毛が行われ健康な皮膚と毛がつくられます。

なかなか難しいかもしれませんが、季節外れの抜け毛でお悩みの方は少し意識して生活してみると変化があるかもしれません。