コラムColumn

ワクチン接種後の副反応

ワクチン接種後に調子が悪くなったりしたことはありませんか?

そのなかでも今回はワクチン接種後のアレルギーについて。
つぎの4つに分けてご説明します。
今回は(も?)、ちょっと長いです。

1,ワクチン接種後の副反応はどのくらいの確率?
2,ワクチン接種後アレルギーの症状は?
3,アレルギーの原因は?
4,アレルギー発症後のワクチン接種は?

5,ネコちゃんのワクチン後アレルギーは?

1,ワクチン接種後の副反応はどのくらい?
ワクチンメーカーにより差はありますが、2012年の日本におけるワクチン副反応の発生率は0.63%です。
1万頭注射して、60頭くらい調子が悪くなるという確率です。
そのうち、アナフィラキシーのような重篤な副反応発生率は0.07%顔面腫脹や蕁麻疹のような皮膚症状の発生率は0.43%(Miyaji K et al . Vet Immunol Immunopathol. 2012)
当院が使用しているワクチンメーカーが開示しているデータはもう少し低い発生率でした。

ワクチン接種後に過度な運動(ボールやフリスビー、長めのお散歩)をすると、体の循環がたかまり薬の吸収が急激に起こるため、アレルギー反応が起こりやすいと言われています。

ダックス・トイプードル・チワワに副反応が多いという報告がありますが、この3種は年間登録頭数のトップ3なので、母数が多いので報告数が多いということでしょう。

JKC HPより

ちなみに、日本小児科学会によると、様子を見ていれば回復するような副反応はゼロから20−30%だそうです。重篤な副作用は表になっています。高いものでも0.009%くらいのようです。

2,アレルギー症状は?
アナフィラキシー症状
(循環呼吸器の症状)は接種後30分以内に起こることが多い。
〈例〉注射した直後に虚脱状態になり、心肺蘇生が必要になることもあります

<注>アナフィラキシーに対しては迅速に対応する必要があるため、接種後30分はすぐに病院にいけるよう、院内または病院の近くで待機するようお願いしているのはこのため。

皮膚症状(顔面腫脹や蕁麻疹)は接種後数時間たってから起きることが多い傾向があります。
〈例〉注射して2−4時間くらいたったら顔が腫れてきた。

<注>午後のワクチン接種を受け付けていない病院もあります。 午後の遅い時間のワクチン接種して、アレルギー反応が数時間後にでてしまうと夜間救急病院に行かなければならないかもしれませんので。。。。

アナフィラキシー(ショック)とは?
血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態。

アナフィラキシーってなあに.jpより
https://allergy72.jp/anaphylaxis/symptom.html

人のアナフィラキシーの発生頻度はこのくらいみたいですね

200人に1人が経験しているようです。
アナフィラキシーってなあに.jpより
https://allergy72.jp/anaphylaxis/frequency.html

3,アレルギーの原因は?
ワクチンの中に入っている様々な薬品や蛋白に対する反応であると考えられます。
とくに、ワクチンの中に入っている牛の蛋白が原因によるアレルギーが多く報告されています。

4,アレルギー発症後のワクチン接種は?
当院では基本的にお勧めしていません。
前回は顔がはれたくらいでも、今回は虚脱して心肺蘇生が必要になるかもしれません。

伝染病が少なくなった今日、そこまでリスクを負って予防する必要性を考えなければなりません。

ワクチンアレルギーが出てしまった場合、ワクチン接種の代わりに抗体価測定を勧めています。
それにより、ワクチンの間隔を延ばすことができます。

コラム「ワクチン抗体検査」

※トリミングやホテルなどでどうしてもワクチン接種が必要な場合
おすすめはしていませんが、アレルギーが出にくいようにステロイドや抗ヒスタミン剤を投与したあとにワクチン接種をすることがあります。
ただし、このような予防措置をとってもアレルギーが発症することがあります。

5,猫ちゃんのワクチン後の副反応
あまりデータがありませんが、ワクチンメーカーのデータですと、重篤な副反応の発生率はおおよそ0.01%くらいとの報告があります。
食欲不振・嘔吐・下痢などの消化器症状が多く報告されているようです。

猫のワクチンについてはコチラから。

副反応・有害事象・副作用のちがい
副反応
;ワクチン接種に関連した事象に限定して使用
有害事象;医療行為を行ったあとに生じる好ましくない事象。事象と医療行為との因果関係は問わない
副作用;医療行為を行ったあとに生じる好ましくない事象。事象と医療行為との因果関係あり

こどもとおとなのワクチンサイト
https://www.vaccine4all.jp/topics_M-detail.php?tid=16

ワクチン接種は病気にならないように行うものです。
その行為で病気、ましてや重篤な副作用などあってほしくないものです。

ですが、ある一定の確率では生じてしまいます。

飼い主さんも、ワクチン接種後のアレルギーの事をご理解いただけると、万が一の時に役に立つと思います。