コラムColumn

アレルギー用のフード?

全身のかゆみや嘔吐下痢で困っている時、フードを変更してみる事を勧めることがあります。

そんな時飼い主さんから「アレルギー用フードですね」と言われることがあります。

アレルギー用フードってなんでしょう?

アレルギーが生じないフード?アレルギーが治るフード?

一般的に言われる「アレルギー用フード」は「除去食」を言うようです。

除去食;ペットがアレルギーを起こさない、または起こしにくいと考えられる食品で作られたフードのこと。
特定のタンパク以外を除いて作られています。
除去食には2種類あります。
新奇タンパク食加水分解食です。

新奇タンパク:字のごとく、新しい・奇しいタンパクの事。
もっと砕いていえば、一般のフードでは使われることが少ないタンパクの事です。

今のところ、動物のアレルギーでは「タンパク質」に気を付けましょうという事になっています。
ですから、アレルギー疑いのペットが摂取したことがない・めずらしいタンパクであればアレルギー反応が起こりにくいのではないか?という事です。
(アレルギー反応は、2回以上の暴露が必要だと考えられているため)

有名どころだと、ラム&ライスとかがそうです。
有名すぎて、もはやアレルギー食(除去食)ではなく一般食になりつつありますね。
他には、カンガルー、たら、タピオカ、えんどう豆、七面鳥、鴨など。最近では馬肉なんかもあるようです。

ここで困ったこともあります。
これまで色々なフードを食べていたり、おやつで色々なお肉・ジャーキーなどを食べている経歴があった場合は、新奇タンパクが見つからない事もあります。

そんな時は、除去食ふたつめの「加水分解タンパク食」を使う事があります。
字のごとく、水の力で分解したタンパク質を使ったフードです。

より大きい分子の方がアレルギーと認識されやすいため、体の中に入る前に分解して、アレルギー反応を起こりにくくしたものです。

補足:肥満細胞の脱顆粒に必要なアレルゲン分子量はおおよそ1万ダルトンと言われています。加水分解によりタンパク質を1万ダルトン以下にできれば、理論上、アレルギー反応は起こらないと言えます。

https://www.orthomolecular.jp/nutrition/protein/ より。

<注意>
加水分解食でカバーできるアレルギー反応は、Ⅰ型のみです。リンパ球が関与しているⅣ型アレルギーでは、もっと小さい分子にも反応することがあるため加水分解食でも注意が必要です。

Ⅰ型アレルギー(即時型)とⅣ型アレルギーはまたの機会に。。

加水分解食と同系統で、アミノペプチドフォーミュラー(ロイヤルカナン)があります。たんぱく源としてアミノ酸を配合しているフードです。たんぱく質を最小単位まで分解するとアミノ酸になります。アミノ酸であればアレルギー反応は起こらないという訳です。

フードにはそれぞれ個性があります。
市販食のみで管理を考えられている場合は、飼い主さんのお考えのまま使っていただいて良いと思います。
ですが、療法食を使用する場合は、獣医師指導の下で使う事をお願い致します。