前回の続きです
前回のコラムでもありますが、白内障の根本治療は外科手術です
申し訳ありませんが、当院では白内障の外科治療は対応できません
簡単に外科手術について
外科手術には特殊な機器・設備・人員が必要です
外科用顕微鏡
水晶体を超音波で破砕・乳化する機器
水晶体の代わりになる人工レンズ
それらを扱える獣医師
合併症に対応できる医療体制
これらすべて必要ですから、費用は高額となります。
一般的には、片目30万円前後になることが多いと思いようです
https://hoken.kakaku.com/pet/dog_injuries/eye/hakunaisho/
本編に戻ります
では、当院では白内障の時にどのような対応をするのか?
それは、内科管理です。治療ではありません、管理です
初発白内障(水晶体の濁りが10%未満)であった場合、進行抑制(動物用:ライトクリーン)の点眼をおすすめします
未熟白内障(水晶体の濁りが10%以上)の場合は、飼い主さんと相談したうえで、白内障進行抑制の点眼を使用することもあります
また、この段階から消炎剤を使用することもあります
成熟白内障(水晶体全体が濁っている)の場合は、進行抑制の点眼は行いません
かわりに、消炎剤の点眼を行います
消炎剤を点眼しても、白内障は何も変わりません
消炎剤点眼の目的は、白内障の合併症の抑制です
白内障は基本的には進行性です。成熟白内障以上に進行すると、合併症を引き起こす可能性が高くなります
白内障の合併症では、「ぶどう膜炎」と「緑内障」が怖いです
白内障が進行すると、水晶体内に蓄積したタンパクやコレステロールが水晶体の外に染み出してきます
このタンパクやコレステロールにより、眼内の炎症(ぶどう膜炎)や高眼圧症(緑内障)を引き起こす可能性が高くなります
その合併症の程度を軽くする、すぐに気づけるようにする、その目的で消炎剤の点眼をお願いしています
ですが、目の状態次第では消炎剤を使用できない場合もありますし、定期的な目のチェックも必要です
白内障の管理については、必ず主治医にご相談ください